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高取しづか『生きるためのお金のはなし』

読んで1ヵ月以上が経過しており、残念ながら内容を1つも思い出すことができない。自分が想定ターゲットでないと言ってしまえばそれまでだけれど、子どもの立場を想像するに本書が「年長者のお節介じみたお説教」以上の効果を生むことができるだろうか疑問に…

チェーホフ『桜の園』

岩波文庫赤、湯浅芳子訳。言わずと知れた名作戯曲を今頃初読(演劇部部長だったよ!)。 ずっと持ってたのに読んでいなかったのはよくある「ロシア人の長い名前が憶えられない」でありまして、それも愛称になったりフルネームになったり、フルネームから愛称…

筒井康隆『笑うな』

新潮文庫。ショートショート集。筒井康隆の本を一冊通読したのは初かもしれない、記憶が定かではない。 「ショートショートといえば星新一」で中高時代を育った身としては、切れ味鋭くというより鈍器でぶったたかれるような作品群に消化不良を感じつつ、これ…

宮沢章夫『14歳の国』

遊園地再生事業団、舞台未見の戯曲。 「その場に不在の人に関して、周囲の人々や状況によって浮かび上がらせてゆく」という手法は、よくあるっちゃあるが非常に劇的だし、個人的に好き。まして、「人」ではなく「人々」について、個々というよりその総体につ…

高村光太郎『智恵子抄』

新潮文庫。高村光太郎の詩は「牛」しか知らず、智恵子のことも「ちえこしょー」としか知らず、中学の修学旅行で行った十和田湖で像を見たなあってことぐらいで、本当に実物を見たかも記憶が怪しいほどで、二人がどんな人生を送ったかを全然知らずに読んだ(…

寄藤文平『数字のモノサシ』

副題は「絵で見る数字の感じ方」。読みたいリストに加えつつ放置していた本。たまたまブックオフで見つけた瞬間、地震のニュースと脳内でリンクし、購入。神戸のときの、数字が増えていくたびに自分の感覚が麻痺して、実感を超えてしまうあの不思議な、いや…

ゲーテ『若きウェルテルの悩み』

高橋義孝訳、新潮文庫。浅学にして話の筋をぜんぜん知らず、ウェルテルが何に悩んでいるのかをも今まで知らずに読み始め「あー、ロッテの元ネタここだっけ」と思い出しながら読み進め。ウェルテル悩んでた。めっちゃ悩んでた。身悶えまくってた。身悶えじゃ…

小田切博『キャラクターとは何か』

ちくま新書824。新年まとめ買いのうちの一冊。 当初、自分が期待していた「キャラクター」とは違う話が書かれた本だった。しかし書かれていることは、たしかに「キャラクター」の話だった。まさにタイトルの通りで「何か」という問いかけであり、つまりは、…

國方康任『「読まずに」わかる会計の本』

高校3年の春に「数学はセンター試験で終わりだ」と決めてから、数字への苦手意識を払拭しきれないまま現在に至っている。数字への苦手意識は、そのまま金勘定への苦手意識へと直結しており、非常にまずいとわかっているつもりながらも、そのまんまにしたまま…

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』

河出文庫。初笙野。本当は『金毘羅』を読んでみたかったのだけれど、たまたま安く手に入ったのがこっちだったので。「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の3本。 どの話も、決して広くない世界の中で、けれどせまくるしさを感じ…

松尾スズキ『ファンキー! 宇宙は見える所までしかない』

1997年の岸田國士戯曲賞受賞作品。舞台未見。 顔中食用油まみれになって終電を逃した日の帰宅後の寒さの貫通した居間のソファで一気読み。痛快な不謹慎の連射。あくまで大人計画での上演を前提とした戯曲、なのだけれど、これいったいどうやって演出して舞台…

J・D・サリンジャー『九つの物語』

中川敏訳・集英社文庫。昨年、文庫セットにて購入した一冊を今頃読了。初サリンジャー。「バナナフィッシュ」に色めきたつ(アッシュ!)。 読んでいていまいちドライブしていかない。つっかかる。たぶん、いちいち描写が洒落ているからというのと、登場人物…

『イラストレーションキャラクターのつくり方』

同僚レンタル。キャラクタービジネスの一線で活躍する作家たちのお仕事紹介本。私は作家でもないしイラスト志向もスキルもないので「自分のために」というよりも「広告制作チームの一員として」という立場から、作家目線のいろいろを(さらりと)知ることが…

『成功するキャラクターデザインの法則』

新年、amazonでまとめ買いしたうちの一冊。 まず、看板に偽りあり。本書には「法則」についての考察は一切ない。そのへんは帯に書かれていることがすべてで、 メッセージは キャラクターに託せ これと同じことが「あとがき」にも書かれていて終了。あとは、…

鴻上尚史『トランス』

三人芝居。何度となく再演を重ねられている(それは鴻上本人も言及しているように「舞台にかけやすい」少人数・設定ということもあろうが)戯曲。私が高校、演劇部の部室にあった VHSで観たのはおそらく1993年の初演(これ)。小須田康人、長野里美、松重豊…

武者小路実篤『友情』

新潮文庫。モヤモヤ男子のリアリティを欠いた妄想ガールズトーク。暮れに読み始めかけて「きっついなこれ」と思い中断していたのを正月休みに読了。改めて、きっついわこれ。 憂国を気取ってみたところで、しょせん男なんて、なんてのを的確に活写した小説だ…

夏目漱石『門』

角川文庫。今年の夏に鎌倉を旅し、円覚寺にも行ったのだけれど、そこが漱石『門』の舞台になってるよって話を直前に知り、旅行から帰ってきて家の本棚を見たら読まないままになっていた『門』があったものだから、これはと思って読んだのだけれど、まあ、ま…

伊藤聡『生きる技術は名作に学べ』

ソフトバンク新書122。空中キャンプを書いてる人こと伊藤聡の著。空中キャンプは大好きで読んできたのでワクワクしながら購入、しばらくだいじに寝かしておいたうえで、11月の頭に読了した。 著者の文章の魅力を一言で表しきるのはとてもできそうにないが、…

『SPECIAL OTHERS BOOK』

家で眠っていたQUOカードを使い、HMVにて購入。CD屋で買物をするのが5年ぶりぐらいのような気がする。 ここ数年、すっかり好いて、仕事中などこればっか聴いてるスペアザ。の、ファンブック?中身はインタビュー+雑誌「COOL」に連載していたらしいページの…

小飼弾『小飼弾の「仕組み」進化論』

サブタイトルは「生き残るための“新20%ルール”」。10月頭に読了していたのだが、何も書き留めておかないまま放置していたら細かい話を何も憶えていない…。読んでるときは「ふむふむ!」と思っていたのに。無念である。 さて、ページの角を折った箇所ぐらい…

内海慶一『100均フリーダム』

同僚が貸してくれた一冊。ツッコミネタ本として参考になる構成と筆致、着眼点。写真もいい。2枚使いのページなんか特にいい。 劇団やってた頃はよく100円ショップにお世話になった。お世話になりっぷりが高じてある団員がダイソーの歌を作詞してしまうくらい…

堀江貴文、西村博之『ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間「なんかヘンだよね・・・」』

ぶっちゃけた正論の清々しさと、それがなかなか通らない世の中。みんな、表に見えないだけで、たくさんいろいろ考えているんだなあー。俺もたくさんいろいろ考えて楽しく暮らそう。ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」…

日垣隆『ラクをしないと成果は出ない』

最近のブックオフには必ずある一冊。ずっとスルーし続けてきたけれど、小飼弾が絶賛してたので購入。 以前読んだ同著者の文章にまぶされていた怒りのエキスが苦手だったのだけれど、本書はそんな部分がほぼなく、構成、文章、とても読みやすい。とても読みや…

長谷川高『家を買いたくなったら』

最近とても家欲づいているところにドンズバの書名だったため衝動買い。 法律的なことやら、金融的なことやら、ぜんぜんよくわかっていない私のような人間には、とてもやさしくためになる一冊でした。初歩の初歩が一通り網羅されているようなので、より深くつ…

天久聖一『味写入門』

これをもって「読書」かと問われれば非常に甚だ疑問ではあるが、いいんである。これも一冊。こうして読書のリズムを取り戻していくのである。味写入門(あじしゃにゅうもん)作者: 天久聖一出版社/メーカー: アスペクト発売日: 2010/03/23メディア: 単行本購入…

松尾剛次『中世都市鎌倉を歩く』

中公新書1392。鎌倉旅行の直前にアマゾンでポチり、斜め読みしていざ鎌倉。帰宅後に熟読しようと思っていたのだけれど、やめて再斜め読み。 源氏将軍やら北条執権政治の時代の話のおさらいや、武家と寺社との関係の話、鎌倉新仏教の話など、おさえておきたか…

石川淳『紫苑物語』

再読。とはいえ前は表題作「紫苑物語」しか読んでおらず、残り2篇の収録作「八幡縁起」と「修羅」は初読。 物語の構成に必然性が感じられず、ただただ恣意的に、ときに突拍子もない展開で進む。伏線とか、なんかそんなん知らぬ存ぜぬな調子で進む。でも、そ…

梶井基次郎『檸檬・冬の日 他九篇』

岩波文庫。何年も前に琴似(当時)の「くすみ書房」で購入し、「檸檬」だけ読んで、次の短篇からのあまりの退屈さに打っ棄っていた一冊を再読。 「檸檬」はやっぱり面白い。惹かれるものたちを仔細に美しく描写する筆致、その展開の突拍子の無さ。教科書にも…

イノダコーヒで文庫セットを注文した

札幌駅前の紀伊国屋2階にあるイノダコーヒで「文庫セット」なる企画メニューがあると聞いて行ってみた。 ドリンク1杯と文庫本1冊で880円。本は4冊から選べる。俺はサリンジャー、妻は池波正太郎のエッセイを選択。 文庫本がお皿に乗って出てきた!本の下…

浅田次郎『月島慕情』

実家に帰省した折に父が貸して呉れて、以来一年ばかり放置していた一冊。 読み始めるまでがものすごく億劫で、でも読み始めてしまえばざーっと進んでしまう。風呂のような本(または作家?)である。短篇集ということ、時代物ではないということで、俺にとっ…