『成功するキャラクターデザインの法則』

新年、amazonでまとめ買いしたうちの一冊。


まず、看板に偽りあり。本書には「法則」についての考察は一切ない。そのへんは帯に書かれていることがすべてで、

メッセージは
キャラクターに託せ

これと同じことが「あとがき」にも書かれていて終了。あとは、各事例の紹介・当事者たちの自分語りである。法則的なものを期待して読むと裏切られるかもね、という本。「偽りあり」は言い過ぎかもしれないが、「そのへんは自分で見つけろよ」ってことかいな。
とはいえだからダメってわけじゃなく、そもそもひとくちに「キャラクター」といっても様々、ケースバイケースで「法則」なんてものは見出せずというのが本書の結論であり、それはそれで納得がゆく。
瓢箪からコマ的に、当初の目的や予測を超えて広がってゆくキャラクターも多い(つか、ほとんどそうかも。「ある一施策のキャラクター」から「その団体の顔となる人格」へと発展していくパターンは多いね。結果論だけれど)。そんな中でもキャラクターの軸、大切にすべきことを見失わずに、かといってカチコチに保守的にもなり過ぎずに、丁寧な展開に注力することが「長く愛されるキャラクター」の必要条件なのかな、と感じた。
ケースバイケースは当たり前。事例ごとにキャラクターの必然性・役割を明確にし、作者だけでなくチーム全体が共有しておくことが大切だなあと再確認。私が果たせる役割としては、そのストーリーの描き方がキモだなあ。
個人的にぐっと来たのは、NHK「どーもくん」における「奥行きのある物語性」という話。それと、新潮社「Yonda?」における「絶対に読書から離れないという約束」のあたり。
それと、キャラクター作家ではない自分としては

作家の思いを、すべて引き受けられる覚悟はあるか。
(P82)

を、きちんと肝に銘じておきたいところ。


図版・写真が多めで、直感的にわかりやすいのもいい。「企画段階のラフ的なもの」とか見るのは、やっぱり楽しいものである。「どーもくん」の企画書は、ちょっと震えた。すっかりどーもくんファンです。グッズほしいです。

成功するキャラクターデザインの法則 (メッセージはキャラクターに託せ)

成功するキャラクターデザインの法則 (メッセージはキャラクターに託せ)