サブウェイ123

新作レンタル。期待の数倍おもしろかった。
私の父は鉄道の運転士だった人物なのだけれど、彼が退職するぐらいのときに酒を飲みながらよく話したことがあって、それは「俺の仕事は決められた時間内に、決められた行程を、いかに安全に走るかが重要であって、クリエイティブな仕事ではない」というようなことだった。冗談を言うのが好きで、人前に出たがりで、周りを楽しませることが好きな彼にとって、彼が語る運転士という仕事がどれほどの満足を与えたものかはわからない(それでも彼は「鉄道人生に悔いなし」と言ったけれど)。
ところがどっこい、この映画に登場する鉄道の仕事はすげえおもしろい。ニューヨークの地下鉄の事情は北海道の鉄道と違うだろうし、組織内でのキャリアの積み方もどこまでリアルなのかわからないけれど(車掌もやって運転士もやる?)、主人公デンゼル・ワシントンが言うところの「ただの職員」たちが、淡々と、地味に、だが自信と誇りをもって鉄道を運行している、そのプロフェッショナル然とした佇まいにとにかくぐっときた。特に前半、事件と並行して通常業務をこなしているあたり。
※私は鉄ではないです。