劇団☆新感線『シレンとラギ』

5/5sat18:30-@梅田芸術劇場メインホール。関西で初観劇。サイドS席(2階席上手最前列)は、角度こそあれど舞台との距離が近くてよかった。顔もそこそこ見えたし。
新感線の生鑑賞がとても久しぶり(8年ぶり位か)で、マイクの感じにはじめ少し戸惑った(舞台のどこで喋ってるのか眼で追えなかった)ものの、すぐに慣れ、あとは徐々にじっくりと、気づけば鳥肌。逆に、マイクのおかげで、あの大ホールと大音響の中で囁き声までしっかり聞こえる。かつてジャズの歌唱法が生まれたのはマイクロフォンのお陰だと聞いたことがあるけれど、生声だけがライブじゃないんだなってことは最近ときどき思うこと。


観ながらも、観終えてからも、藤原竜也永作博美でしか成立しない物語と感じた。もちろん将来的な他キャストの可能性を否定するものではなく、ただ率直な実感として、それくらいのしっくり感があった。
初めて生の永作博美を見られたことはミーハー気分で嬉しかったのだけれど、やはり生舞台の藤原竜也はすごい。立居振舞はもちろん、声、語り、セリフの魅力。背丈と体型と童顔もあいまって未だに線が細い印象なんだけれど、それでもってあれだけ剛速球本格派の激甘セリフを大劇場の客席に叩き込める俳優ってなかなかいない。本流で戦い続けてきた、濃厚なキャリアを歩み続けてきた俳優の凄味を感じる。
今回いちばん驚いたのは、高橋克実の打ち震えるような格好良さ。東京公演中につき詳しくは書かないけれど、ずるい、ずるいよ克実さん。いのうえ歌舞伎のマジックぶりは古田新太でそれなりに理解しているつもりだったけど、やっぱなんなのあれ。克実さん。そりゃ稽古でレッドカーペット遅刻もするよ。休みもするよ。ぜんぜんいいよそれで。


つくづく「俳優」ってもののなんたる存在かと思う。俳優という仕事の面白さは、よく「様々な役の人生を生きられること」となんて語られるけれど、俳優の生身から完全に乖離することなどないわけで、その醍醐味は「どんな役であれ自分自身の人生と如実に不可分であること」ともいえるのではないだろうかと思った。有名な俳優(いわゆる「芸能人」)であればあるほど、表層的なパブリックイメージも含めて呑み込んだ上での。


日々の演劇アンテナもだいぶ感度を落とし「演劇ぶっく」を読まなくなってだいぶ経つ身としては、超ひさしぶりに粟根まことを拝むことができて、ほっこり。粟根まこと阿部義晴がダブって仕方ないのは俺だけか。


いやよかった。ついかっとなって関西まで行って本当によかった。