サガン『一年ののち』
たしか大学4年のときに観た映画「ジョゼと虎と魚たち」に登場する本作、当時も読んだこの一冊を気まぐれに再読。理由は「薄いから」。会社帰りの地下鉄10分少々で、ちびりちびりと頁を積み重ね、やや飽いてきたので残りを家でまとめ読み。
パリの、いろいろと贅沢な人たちの、それぞれのモヤモヤエピソードが連鎖する群像劇。アンニュイー。たぶん当時はベルナールを主人公ととらえて読んでいたと思うんだけれど、今は各人それぞれの立場に移入して(もちろん深度の違いはあるけれど)楽しむことができた。ベルナールの妻・ニコルの存在なんて当時は気にも留めていなかったんだろうけど(ぜんぜん記憶にない)、今回妙に気になったのは俺が結婚したからだろうかねぇ。たまには再読もいいもんである。
それと、全編にわたり「、」の使い方が面白かった。
若者は受話器を置いた、ジョゼは、彼が受話器をはずし、まるで自分の家にいるかのように返事したのを見て、ぐっと怒りをこらえた。
(P7)
みたいな。
彼らはベンチの上にすわっていた、雨は絶え間なく降り、彼らは死ぬほど疲れていた。
(P111)
コンコルド広場(近く?)のベンチのシーン、美しい、震えた。
訳者は朝吹登水子。
- 作者: フランソワーズサガン,Francoise Sagan,朝吹登水子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/01
- メディア: 文庫
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