吉本ばなな『ハードボイルド/ハードラック』

小説一般の地の文、特に風景描写などを読むのがめっぽう苦手で「ちょっとさらりとそれっぽい描写と観察眼がほめられたいような視点と違和感のあるナマっぽい心象を書けば成立するんでしょ」みたいな文章が本当に嫌いで私の小説読書に対する苦手意識の一つの原因となっている。のだけれど本書は気にならず、そしてややぐっときた。短いのもあるかもしれない。P112-113が好きだった。全体通して「ここは書かない」という潔さは心地よくって見習いたい。間の取り方、プラスアルファの何か。フィクションだからこその自由って例えばこういうことなんだなあ。小説月間はまだまだ続きそうな予感。

ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)

ハードボイルド/ハードラック (幻冬舎文庫)