父が退いた日

10月14日、鉄道の日
父親が定年退職いたしました。
厳密には来月末付なのですが、有休消化やら何やらで
この日が「ラストラン」。
下ろしたての真っ白い手袋で
乗務をこなしてきたのだそうです。

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この日、僕が仕事を終え実家に帰ったときには既に夜も9時を過ぎていて、
それでも親父はまだ酔い潰れずに待っていてくれまして。
結局夜中の3時まで、ぐだぐだと飲んだくれておりましたが、
彼は頻りに、「最高だ」「言うことの無い鉄道人生だった」と。
繰り返すのです。
どちらかと言えば趣味の人だ(本人もそう言って憚らない)と思っていた
彼が
40年間と数ヶ月、背負ってきた責任、人命というもの、だの、もろもろ、
ああ、なんてことだ。

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カントは死ぬ間際、一杯の紅茶を飲んでこういった。
「これでよし。」

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そうとまでは言わんけれど、やけに真っ黒に日焼けした(日焼けマシーンで)父の上腕二頭筋を見ながら感慨に浸っておりました。

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さて翌日、昼過ぎに起床して札幌の自室に戻ろうと思っていた俺に「これうまいんだ。最近はまってるんだ」と、親父が持たせてくれたカップうどん。
うまかった。なんかしみじみと。