木下半太『悪夢の観覧車』

幻冬舎文庫。昨年、友人がくれた本のうちの一冊。「気が向いたら読むべ」ぐらいで寝かせていたのだけれど、その彼がこのほど札幌を去る運びとなった報を受け、今年は小説を読むという自分的目標とも一致したので、ざっと読んでみた。
軽い。軽い故に、疲れた仕事帰りの地下鉄でもずいずい進む。言葉選びの機微など、良くも悪くも突っかかるところがほとんどない。あざとさとギリギリの当世用語の乱発も、「深く考え込まなくていい」という意味では効果的。
面白さとご都合のキワキワ。けれど、頁を繰るのが楽しみだった。そんな力があった。読書ってなんでするんだろうね。小説ってなんで書くんだろうね。そんなことを考えながら、さくっと読み通すことができた。なんでも吸収しよう今年は。

悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫)

悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫)