面白さと時間

倉本聰がテレビドラマの脚本執筆をやめるのかもしれないんだそうな。ニュース(スポーツニッポン)によれば「テレビへの絶望がある」「質は考えず、視聴率だけで評価するようになってしまった。脚本家、演出家、役者を悪くしていったのはテレビ局に責任があると思う」と語っているとのこと。
ここで、ふと疑問。
「視聴率=たくさんの人に見られている=よいものと評価されている=よいものである」ではないのか?
ないのだとすれば、それは評価の「時間軸」の問題だろうかなあ、と思った。
つまり、オンエア時に「そのとき」「同時に」見られることが視聴率。そこでは「話題性」「派手さ」が求められる。短時間で「面白い」とされる「わかりやすさ」は、ひいては「浅さ」や「薄さ」にもつながるだろう。
一方、「地味だけど」「じわじわと良さが伝わるもの」もある。多少わかりにくても、深いもの。時間をかけてゆっくりと評価されるもの。それらはもしかすると「視聴率」にはつながらないかもしれない。
倉本の言う「質」とは何なのか?

倉本聰氏「これが最後」テレビ局に絶望

 人気ドラマシリーズ「北の国から」などで知られる脚本家の倉本聰氏(73)が「テレビへの絶望がある」としてドラマ脚本の執筆をやめる可能性を明かした。脚本を担当するフジテレビの10月スタートの連続ドラマ「風のガーデン」(木曜後10・00)で、舞台となる北海道・富良野で会見。「これが最後という気持ち。テレビ局が視聴率だけを考え、現場が悪くなった」と憂えた。

 倉本氏は「風のガーデン」の主人公の家族が育てているという設定の庭の前で、主演の中井貴一(46)、緒形拳(71)らとともに会見。黄色や白い花が咲く中「これが最後だなという気がした。連続ドラマはしんどいし、作っているスタッフもどんどん世代が違ってきているし…」と打ち明けた。

 日本テレビ「前略おふくろ様」(1975〜77年)フジテレビ「北の国から」(81〜2002年)など多数のヒット作を生み出してきた脚本家の「最後かな」発言。富良野のホテルに場所を移し再び取材陣に囲まれた倉本氏は「これが最後の連ドラになる?」との質問に「ありますね」とキッパリ。

 人間の生と死をテーマにした同ドラマの執筆中に感情移入しすぎて体調を崩し精密検査を受けたことも明かした。倉本氏は「体力的なこともあるが、テレビへの絶望というのもはっきり言ってある」と話した。

 「今回のスタッフは一生懸命取り組んでくれている」と強調した上で「かつては知恵を使って作っていたが、今は知識でものを作るようになった」と指摘。「(一緒にやってきたスタッフが)役付きになり、現場から離れ、技術や知恵が伝承されず、役者を含めて現場がものすごく悪くなった」と苦言を呈した。

 さらに「質は考えず、視聴率だけで評価するようになってしまった。脚本家、演出家、役者を悪くしていったのはテレビ局に責任があると思う」と怒りをあらわにした。

[ 2008年08月06日 ]
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2008/08/06/01.html