公開句会・東京マッハvol.8「札幌マッハ 北北東に越境せよ」

9/16mon14:00-@コンカリーニョ。
東京にてチケット即完売という公開句会イベント。書き出し小説大賞授賞式長嶋有さんのトークが面白かったのと、柴崎友香さんの小説が好きなのと、前にたまたまネットで見た千野帽子さんのこの句がかーっちょよくてしびれてしまって。

帰したくなくて夜店の燃えさうな

いつか行きたいと思っていたところに札幌開催の報を聞きつけ、俳句ド素人ですが夏のはじまりにチケット購入してワクワク待ち望んでおりました。
13時の開場をすこし過ぎて入ったら既にけっこうな客入り。瓶ビール、リンゴケーキ、パンなどをいただく。

事前に5名が6句ずつ句をつくり、集約・シャッフル・作者を伏せられた選句表が、開場と同時に観客と、そして出演者みなさんに配布される(コンカリーニョTwitterにて公開済み)。出演者と観客は、特選1句、並選6句、逆選(文句つけたい句)1句を選ぶ。ちなみに後から発表されたけど、今回のお題(各自必ず1句はつくる)は「東京」と「農水産物」だったそうな。
そして開演。余談を大いにはさみながらドライブしてゆく5名のトーク。ほめて、けなして、すっとぼけて(作者が誰かわからない状態で句のよしあしを議論する。当然、作者本人も)。めちゃくちゃおもしろい。
一つひとつの俳句そのものについても「ほうほう」と一つ一つになるほど連発(会場も「ほお〜」ってなってて素人的には安心)。「切れ」とか「つく」とか。素人でも納得・共感できる、とてもわかりやすい説明と議論。そして、俳句そのものはもちろん「句会」の楽しさについて(出演者もそこが狙いだと仰っていたが)びっしびし伝わってくる。合評の形式や作法としての工夫、昔からあるものなのか、独自のアレンジを加えているのか、たぶん両方なのだと思うけれど。「ここは、こう変えてはいかんのか」と突っ込んだ話が聞けるのも、すごくいい。
それこそ「書き出し小説」イベントでも感じたことだけれど、ギュッと短い言葉によってつくられた作品について、ああでもない、こうでもない、と解釈を広げながらときにくさしながら(でもなんかほめちゃいながら)語りあうというのは、なんと豊かで贅沢な楽しみだろう。こんな風に遊べるのって、ほんとうに、いいなあ。さいきん土屋耕一さんの本をちびちびと読んでいることもあって、ことばを遊び、味わう営みに、もんのすごーく惹かれている次第。句会なんてきっと何百年もやられてきた遊びなんだろうから、その強度というか、歴史と遊びながら現在とも遊べるっつーか、やっぱすっげーわ。


私が☆(特選)をつけたのはコレ。

赤蜻蛉(とんぼ)いきわかれたり山手線

同じプラットホームで、一匹が外回り一匹が内回りの列車に乗っちゃった、みたいな図を想像。


マル(並選)をつけた6つのうちいちばん好きだったのはコレ。

機嫌はよし互い違いに秋刀魚二尾

「は」がいい!


2度の休憩をはさみ、たっぷり、でもあっという間の3時間半。瓶ビール3本も飲んじまったい。
また是非に札幌にいらしていただきたい、ずんずん越境していただきたいけど、東京から見にいらっしゃる方はたいへんでしょうし、たまにでいいです。でも絶対にいらしていただきたい!真冬とかどうですかね。真っ白な札幌。