ファインバーグ・コレクション展 江戸絵画の奇跡
6/30sun@江戸東京博物館。
江戸時代の日本の絵画をこんなにたくさん見たのって初めてかもしれない。記憶にない。不勉強な学生で本当に申し訳なかったと思っています田島先生。そんな俺でも知っているようなビッグネームがずらーりずらりと並ぶ展覧会。これがアメリカの個人蔵っていうんだから、美術の世界とは、うっひゃーって感じだよなあとあらためて感嘆。そりゃオープンザプライスも長寿番組になりますよね。
下世話な根性丸出しなものの、なんだろう、至極不遜な言い方をすれば「つまらない」と思うものがほとんどない、贅沢な時間がずーっと続いたような、鑑賞時間だった。浅い自分でも浅いなりに楽しみ方があったということなのだろう、江戸絵画という枠のなかの多彩な振り幅を、ちょうどいいバランスと順序で体験できたということなのかもしれない。わからないけど。
たとえば花鳥などそれぞれのモチーフは単純に「うまーい!」って言えちゃうような感じもするし、そもそもそのモチーフ選び自体が、なんでこれを、というところから問われるのだと想像すると、ぶるっとくる。そしてもちろん、レイアウトのセンスも。どういう考え方を、どういう思想を、どういう経験を、足場に、そのモチーフを、画家はそこに置くのか。ぶるっとくる。
さいきん生の絵を、それもとくに昔に描かれた見るとよく、その筆を持って動かしている手や、腕や、体や、人や、その人の覚悟や、暮らしなんかを想像してしまう。リアルに想い描くことができるわけじゃないけれど、ぐるぐると想いを巡らせながら絵の前に立ち尽くしぼーっとしてしまうのだ(きっとフゴッペに行ってからだ)。
この時代の人々って、庶民すべてがとはいわないけれど、他に娯楽が少なかったぶん、つくる側もみる側も「絵というものを楽しもう・味わいつくしてやろう」といった思い・情熱が大きかったんじゃないかしら、なんてなんの裏も取らずにつらつら想像。文人画とかなんなのさ、もー、その「味で勝負」みたいな開き直った(と、見せかけているような?)たたずまい。すっげーいいな!
以下、気になった作品メモ。
- 尾形乾山『百合図扇面』
白い百合のマチエールが意外。
- 酒井抱一『十二ヶ月花鳥図』
モチーフ選び。
- 池玉瀾『風竹図扇面』
竹が風に、しゅばばばばっと。
- 渡辺玄対『武陵桃源図』
青!
- 森祖仙『親子鹿図扇子』
さらりと。いい。
- 竹内栖鳳『死んだ鶴図』
黒。
- 伊藤若冲『松図』
この迫力で、80歳過ぎていたってのがすんげー。「俺はじじいだ文句あっか!うおりゃー!」みたいな。大好き。
へうげもの。いや逆か。
- 曾我蕭白『大黒天の餅つき図』
飲みの席でパフォーマンスとして描いた絵だってさ。最高。
うっひょーい。
- 長沢蘆雪『一笑』
竹の下に犬がいて「笑」とな。しゃれとるなー。
- 勝川春章『文を破る女図』
こっわ。超いい題材。
- 歌川豊春『春景遊宴図屏風』
遠近法で、どん!
お土産にはポストカードとポチ袋。
蕭白「うっひょひょーい」