n年後

最近は未来のことをぼんやりと考えることが多くて、多いわりにぼんやりしていて特に何も進んでいない。それはそれでいいのだけれどほんとにいいのかよという不安もときどきあり、不安はよくないので「こんな暮らしをしてみたい」という描写を書き綴ってみることを想像している。
どんな場所に暮らしているのか。今の街なのか別の街なのか故郷なのか。都会なのか田舎なのか、自然はどれほどあるのか、海は見えるのか、山は見えるのか、森は見えるのか。まちなかとの距離はどの程度か。飲んで帰るときのタクシー代はいくらか。誰と暮らしているのか。家族の人数は。飼っている動物は。コミュニケーションはどのようにとっているのか。朝はどのくらいに起きて夜はどのくらいに眠るのか。何を仕事にしているのか。どのように働いているのか、どのように休んでいるのか。通勤しているのか、していないのか。平日と土日祝日は関係あるのかないのか。旅行には行っているのか。友達はいるか。
うっすらと断片的に像を結びながらも、そこにはぐつぐつと煮えたぎるような、ときに自分の制御を超える突沸的な、欲望がぬけおちていることに気がついて、現在に戻る。血の通っていない理想論を書き留めることが恐くなって手が止まる。