眠れなさそうな日の手すさび

頭がぶんぶん回っていて、わりとへとへとなのだけれど目が冴えてしまって、きっとこのままでは眠れない。夜おそめまで仕事をしていると、ときどきそういう日があって、体を横たえているだけでもいくぶんかは休まるのだといういつかの市村正親さんの教えを思い出しながら寝床の中でまんじりともせずに休息につとめるのだが疲れているのに眠れないというのはなかなかしんどい。
そんな自分の状態に、寝床に入ってから気づいたのではだいたい遅くて、帰宅する前に気づければラッキー。地下鉄に乗る前に、耳の中、意識してチルアウトな音楽を選択する。だいたいレイハラカミ、さいきんはジェイムスブレイクなどを選ぶ。眼や頭の疲れ方によっては本も開くのをやめて、眼を閉じて、じっとしている。それでうまいこと眠れているかどうかは、いまちょっと思い出せない。
よく耳にするのは、就寝前に、日記をつけるといいとかなんとか。頭のなかでモヤモヤしていることを全部吐き出してすっきりしてしまおうという算段らしい。正直なところ、単純に目が冴えてしまっているときにはあまり効果がないように思えるし、書いているうちに興が乗ってドライブしてしまうとかえって眠りを遠ざけてしまう。しかしながら、たしかに眠れないときは、頭のなかをいろんな想念がかたちをとるかとらないかの曖昧な状態でぐるぐるぐるぐる出口もないのに回り続けているということが私の場合すくなくない。ので、そういったときに限ってこの方法は有効かもしれない。実際、ある「何か」が脳裏に浮かんでまとまらなくてままならなくて眠れないときには、それにケリをつけるというか、少なくとも当座の結論を固定して保留する意味で、紙に書き付けてみたことはある。それでうまいこと眠れたかどうかは、いまちょっと思い出せない。
脳みそなんかぶっ飛ぶくらい、体が疲れてしまえばいいんだとも考えるが、そんなことも通常業務ではめっきりなくなってしまった。いまも尊敬する最初の職場の超体育会系の先輩は「疲労困憊するまで走って、缶ビール2本ぐーっと開けたら倒れるように眠れる」とかつて教えてくれたけれど、まだ試したことはない。
ここまで書いて、書くことによって、私はチルアウトできたろうか。さて耳の中を、今夜は。