風が見える夜

穏やかな中央区に油断して地下鉄に乗った昨晩。地下鉄おりたらブリザード。ときおり立ち止まらざるをえない地吹雪、イヤホンの中でシガーロスが流れてマフラーの下で笑う。笑うしかない感じの笑いである。
昼の真っ白な世界は飛蚊症もちとして苛つくが美しい。夜の世界は街灯のオレンジに照らされてそれはそれで美しい。地吹雪はオレンジの中の白。いっしゅん空気が止まったかと思うと、道の向こうから煙のような白が狂った布のように舞ってくるのが見える。立ち止まって耐える。防寒具の下は汗をかいている。
こんな感じの帰り道はシーズンごとに数回はあるものだが、今回初めて「マンガ『勇午』ロシア編で夜のマロースのなかを歩く勇午のシーン」を思い出してしまって、あ、死ぬのかなと思った。今朝も起きたら真っ白でよっぽど休もうかと思ったよねしかし。
あと、寒いときにカナル式のイヤホンを耳に入れていると耳の中が冷たくなって危ないということがわかった。