ロダーリ『猫とともに去りぬ』

光文社古典新訳文庫・関口英子訳。この著者のことは知らず、光文社古典新訳文庫というだけで、そしてタイトルで購入。すべて湯船1回1話(稀に2話)で読了。
解説によれば著者にしてはキャリア転換期に書かれた、現代社会風刺をまじえたファンタジー。ファンタジーってその「なんでもあり」のありっぷりがピンとくるかこないかでグッと引き込まれるか一気にドン引くかだと感じているのだけれど、その点本作は好きなあんばいでした。心地よい飛躍で筋が立ち、アレとコレとが出会って新しい人物がうまれ、行動がおこり、そして物語が進んでいく。『ファンタジーの文法』もいつか読んでみよう。
好きだったのは表題作と、もう1つ下記。

 彼とピアノはともに連れだって、トスト山の急勾配を登り、あるいはミニョーネ川が蛇行する、ロッサ河口あたりで野宿する。ビルとピアノは、いつでもいっしょに馬を走らせていた。
 白い馬にまたがって前をゆくのが、ビル。黒い馬にまたがって後ろをゆくのが、ピアノ。ピアノとビル。そう、ピアノ・ビルだ。
(「ピアノ・ビルと消えたかかし」P90)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)