夜の水槽

ロケのために翌朝が早かったので、いつもより早く、とはいえ22時過ぎ頃に職場を出て帰途についたところ、ちょうど弊社の前を通りがかったふたりの若い女性らが、煌々と明るいガラス張りの弊社打合せスペースを見上げて「ここっていっつもやってるよねー」「いそがしいのかなー」「ひまではないだろうねー」と、ざわざわざわざわ、語らいあいながら歩くのに出くわした。ビルの裏口から回って通りに出た私のことを従業員だとは思っていなかったのだろう、私のことを別段気にかけるでもない彼女らの口調は、弊社のことを馬鹿にするわけでも賞賛するわけでも驚嘆するわけでも同情するわけでもなく、不自然なくらいにニュートラルだった。だったけど、まあ、そう見えてるんだな我々って、っていうことを、ふだん自分の目の届く範囲外の感じ方を、忘れちゃいけないなと思いました。泥臭いのは構わないけど別に美徳でもなんでもない。家と職場の往復になってしまいがちだからこそ。
帰りにちょっと本を読んで、家でもちょっと本を読んで、早寝して、起きちゃって、でもすぐ寝れて、起きて。今朝はしこたま寒かった。雪が横殴る小樽運河を意地でも観光する旅人たちに感謝。今夜はウィスキー買って帰ろう。あ、ソイジョイも。
水槽の外は真っ白である。