中島たい子『漢方小説』

集英社文庫。いっつもブックオフにあるのを見て、たいそう売れた小説なんだろうと思ってきたのを、ようやく100円購入。すばる文学賞受賞作。
おもしろおかしく、すいすいテンポよく読める。うれしいこともつらいこともごちゃまぜにしながら冗談のような言い回しで突き進み続ける自虐の諧謔。その筆致にはかつて憧れていたような気がするのと、でも今はそうでもないという気がするのと。

物を書いている人間にとってストレスはネタそのものだ。なんの障害もないストーリーを書いて誰が面白いと思う?ストレスの恩恵で暮らしている自分が、今さらストレスが原因で体調を壊すなんて、キッコーマンが大豆アレルギーになるぐらい考えられない。
(P19)

以下、魅力を感じた気づきメモ。

  • 世界の狭さ。
  • 大小にかかわらず、事件は起きているのだなあ。
  • 説明の、説明然とした割り切り。

漢方小説 (集英社文庫 な 45-1)

漢方小説 (集英社文庫 な 45-1)