小田切博『キャラクターとは何か』

ちくま新書824。新年まとめ買いのうちの一冊。
当初、自分が期待していた「キャラクター」とは違う話が書かれた本だった。しかし書かれていることは、たしかに「キャラクター」の話だった。まさにタイトルの通りで「何か」という問いかけであり、つまりは、やたら「キャラクター」だ「キャラ」だ言われてるけど、ちょっと立ち止まって冷静に見渡して、用語と議論の整理をしときませんか?って本だと思う。
正直、自分の中ではまだ全然整理がついていないのだけれど、とりあえず「ああ、おれは今まで無頓着・無自覚に『キャラクター』とか『キャラ』とか言ってたけど、そのときどきで微妙に含意がずれていたかもなー、気をつけよう今後」とは思えた。
比較的スムーズに腑に落ちた点を引用メモ。

現在の日本におけるポケモンスヌーピーはすでに元コンテンツであったゲームやマンガではなく「商行為を媒介する記号」になっていると考えるほうが実情に即している。
(P26)

キャラクタービジネスとはこうしたプロパティーの制作権や放映権、出版権、商品化権等の許認可(ライセンシング)をおこない、許認可それ自体やつくられたコンテンツ、商品から利潤を得るのがその収益構造だといっていい。確立されたプロパティーのブランドイメージをいかにコントロールし、どのようにそのライセンスでモノをつくり、売っていくかがこのビジネスの本質なのだ。
(P94)

キャラクターとは何か (ちくま新書)

キャラクターとは何か (ちくま新書)

引用はしないけど「(小説などの)登場人物、としてのキャラクター」の話は面白かった。別途ちがう本を読んでみたいところ。3章の扉に引用されてた『小説の技巧』も気になる。
小説の技巧

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