芥川竜之介『蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇』

岩波文庫緑70-7。入手経路失念(買ったんだったかもらったんだったか)。興が乗っていたので芥川連投。岩波は「竜」之介なんだなあ。
子供向き作品を集めたということでわかりやすくするすると。けれど物語の展開だとか教訓的なところは個人的にはどうでもよくて、描写のいきいきとした感じや凄みに興味をもって読んでいた。いちばん好きだったのは「首が落ちた話」。会社帰りの地下鉄で震えながら読んだ。すんげえかっこいい。

唯、斬られたという簡単な事実だけが、苦しいほどはっきり、脳味噌に焦げついている。斬られた。斬られた。―こう心の中に繰返しながら、彼は全く機械的に、汗みずくになった馬の腹を何度も靴の踵で蹴った。
(「首が落ちた話」)

蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇 (岩波文庫)

蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ 他十七篇 (岩波文庫)