スティーヴン・ミルハウザー『イン・ザ・ペニー・アーケード』

中篇1本+短篇6本。描写が細かくて細かくて、かといってすっ飛ばすのも躊躇われて、読むのに時間がかかってしまった。しんどかったけど面白かった。
この前に保坂和志を読んで、日常感とそのまんま地続きの描写を吸収していた身としては、日常感と地続きと見せかけて、どんどん微細に精緻に文学でしかあり得ないフィクションへとずんずん突き進んでゆく筆致は興味深かった。一方で異色とされる第二部の心情描写も面白し。
どれも好きな話だったが、わけても「橇滑りパーティー」のテーマと漂うムード、「湖畔の一日」のラスト、「雪人間」のワクワク感が好き。