ジェイソン・フリード&デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン『小さなチーム、大きな仕事 37シグナルズ成功の法則』

ちょうど「会社ってなんなんだべ」「チームで働くことってなんなんだべ」と考える機会があり、その日にたまたま本書のブックレビューを見つけ、書店にて衝動買い&一気読み。付箋まみれ。
なんせ「規模拡大が目的ではないビジネスの話」であるところが個人的に「よくぞ言ってくれた!」と感じ、しっくりくる。働くこと、儲けること、生きていくことについて、とても多くの示唆に富む本。人まねではない、自分の仕事を、自分事として全体的にとらえ、順序立てて、粛々と、とにかく進めること。やる気がないときには静かに奮い立たせてくれ、やる気があるときには指針を示してくれる本だと思う。今、数十人のチームで働いている会社員であるところの俺にとっても、今後(どうなるかはわからないけれど)の俺にとっても。
引用したい箇所は山ほどあるが、「再読すべし」と深く心に刻むとともに、文房具好きとしてぐっときた箇所を一つだけ引用。

 僕たちが何かをデザインするとき、普通のボールペンを使わずに、「シャーピー」という大きな太線のマーカーを使ってアイディアを描く。なぜか?普通のペンでは、あまりに細すぎて、はっきりと映りすぎるのだ。影を完璧にしないといけない、点線を使うか破線を使うかなど、まだ気にしなくてもいいようなことにも気がいってしまう。
 ウォルト・ディズニー・スタジオの絵コンテ指導担当だったウォルト・スタンチフィールドが、アニメーターにまず推奨していたのが「ディテールは忘れろ」ということだった。その理由は一つ。初期の段階ではディテールから得られるものがないからである。
(P54-55)

神は細部に宿る。もちろん。ただし、適切な順序というものはある。俺のような凡夫にとって、いかに順序に徹することができるかが、まずは肝要である。
ポジティブさは大切だと思うけれど、常に自分を励まし続けるような態度には白けてしまう俺にとって、ほどよく冷静で淡々としたトーンも好み。座右の一冊にする。

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)

小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)