疋田智『自転車の安全鉄則』

朝日新書147。今の日本の自転車事情・自転車行政がいかにカオスでいかに危険かをわかりやすく熱く述べた一冊。自転車に乗るすべての人(本気チャリ・ママチャリ問わず)はもちろん、自転車に乗らないドライバーも、歩行者も、全員が読むべき本。これは自転車乗りだけの問題ではなく、全員の安全の問題である。
とはいえ、全員が読むことはないだろうから、共有したいことを厳選して抜粋。

先進各国の中で、この10年以上の間、自転車事故の発生率は不動の1位。その地位を一度たりとも他国に譲ったことがありません。さらに自転車が歩行者を死傷させる数もダントツです。
(P5)

 実は歩道の自転車は、車道の自転車よりもはるかに危険なのです。歩行者にとって、ではありません。自転車にとってです。
「自転車は歩道を走ると、クルマとの衝突事故が増える」という、圧倒的な現実。これはウソのように聞こえて、実は本当です。
(P79)

「歩道走行は安全なように思えて、実は自転車にとって危険。なぜならクルマとの衝突事故が増えるから」。これこそが真実なのです。
 それにしても、なぜそのようなことになるのでしょう。
 一番の理由は、自転車の歩道走行は、ドライバーの目から自転車を覆い隠し、交差点での「出会い頭」の元凶となってしまうからです。
(P81-82)


著者は「こうあるべき」という理想論を述べ、それを「けれどこれは理想論だ。実際は難しい(何十年もかかることだ)」とした上で、「まず最低限、ここからならできるでしょ?」と具体的に提案する。

自転車の走行空間は、とりあえず車道・歩道を問わない。ただし、どちらを通る場合であっても、左側通行を厳守すること。
(P90)

左側通行という、たったこれだけのことを実行するだけで、こんなにも多い自転車事故を半減させることができるはずです。現在の自転車乗車中の事故死亡者が、年間に812人(2006年)。私はこのうちの半数、つまり400人程度は、自転車の左側通行の遵守で救えると考えています。


どうか札幌が、今より少しでも安全な街になりますように。自転車乗りにとってはもちろん、ドライバーにも、歩行者にも。そしたら俺も自転車通勤始めるから。かつて自転車で庶民派アピールしていた上田市長、まずこの本読んでください。すっかりお太りのようですし。


自転車の安全鉄則 (朝日新書)

自転車の安全鉄則 (朝日新書)