サミュエル・ハンチントン『文明の衝突と21世紀の日本』

集英社新書0015A。大学のとき、宗教学の教授が講義中何度も言及していた「はんちんとん」という名と「文明の衝突」というフレーズ。怠惰な私は聞きもせず調べもせずにそのまま大学を卒業し、卒業してから何かの折に思い立ってググって、その人が「はん・ちんとん」なる中国系の方ではないっぽいということを知り、昨年新聞にて死亡記事をチラ見し、ついこないだたまたま書店にて、この新書を発見、「ここで読まねばたぶん一生読まない」と一念発起して購入した。会社帰りの地下鉄でちびりちびり読んだ。
文明と文明の間のこと。いさかいが起こったり、起こらないときでも駆け引いたりすることについて。ああ、そうだったのか!とスッと腑に落ちるところ、多々。書かれているのが9.11以前であるから今とはたぶんいろいろ状況が違ってしまっているだろうけれど、逆にこの十年を振り返って、なるほどたしかに、たぶん信じるに足る、世界の見方の指針の一つになりそうな一冊。
きっと超有名な本書に対して「たぶん」と私が言うのもおこがましいが、いかんせんそうとしか言えない。自分はあまりにしらなすぎるのであるから、信じるよりほかないのである。何かを作業仮説として情報と視点を積み重ねてゆくしかなかろう。盲目的に信じるのではなくて、慎重に考えながらよりどころにする。教授も「信じる」ってことについてのあれこれを語っていたっけなあ。
あーあ、それにしてもこの本、私が大学生になる以前に既に新書になっている。あの当時、ちょっとやる気出せば生協で買えたはずである。自分の怠惰さに泣けてくるが、本を手に取るかどうかってほんと縁だよなあ。とか開き直ってみる。タイミングが遅かったってだけで、進んでないわけじゃないからよしとしよう。
9.11以降、没前の彼の言説が他にないか、おいおい調べてみよう。

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)