マエキタミヤコ『エコシフト』

講談社現代新書1868。副題は「チャーミングに世界を変える方法」。ブックオフで購入。350円。
実際に行動を起こしている人の言葉には説得力がある。その論じるところには共感・納得できる部分もたくさんある(特に広告制作の視点・考え方として)。知らなかったこともたくさん知ることができた。しかしながら読み始める前から感じていた「うさんくさい」という印象を、ついぞ拭い去ることができないまま読後数ヶ月、現在に至る。
現時点での私にとって「エコ」という言葉は常にうさんくささとセットだ。あまりに語られまくり、そして実際にうさんくさいことも(「も」である)あるということが知られ始めている。で、そういった状況を著者もわかっていて、なんとかそれを除こうと工夫、腐心するのであるけれど、広告表現のほうはうまくいったのかもしれない一方で、本書は私にとってまだうさんくさい。
この不信感の根は何なんだろう?この人がどんな人か、つまりエコがらみのこと以外でどんな暮らしをして、どんなことを考えているのかを知らないからだろうか?それとも、いいことばかり言ってるように見えるからか?(ホワイトバンドの経緯あたりはもうちょっと踏み込んで書いてほしかった)現状認識に対して正しくない記述があるから?(レビュー見てると反論もアリ。そのどちらが正しいのか私は検証できていないんだけれど、一面的な書き方ではある気はたしかにする)…新書だから、コンパクトにまとめなければいけないのはわかるけど(そしてそれが新書の「わかりやすさ」という大きな強みを生んでいるわけだけれど)、とても大事なテーマだと思うからこそ、これだけではやはりうさんくさいままなのである。私にとっては。
それに、エコというものに関して、私は無知だ。「世の中で一方的によしとされているあれこれの多くが、どうやら嘘らしい」というなんとなーく漠然とした認識があって、そこんところで止まっている。「鵜呑みにしてはいけない」という意識だけが先行して、私が懐疑的になりすぎているだけなんだろうか…。
じゃあもっといろんな本を読もうや、というところだが、どうにもまだそこまで気分が盛り上がらないでモヤモヤしている。まあ、そんなあたりを考えるキッカケになったという意味では、読んでよかった一冊。いつか読み直したいと思うときがくるかもしれない。そのとき「うさんくさい」印象は変わっているだろうかなぁ。どうだかなぁ。
もし発信(代弁)する立場におかれたときには、受け手としてのこの気持ちを忘れないように、深く、慎重に。

エコシフト (講談社現代新書)

エコシフト (講談社現代新書)