清水良典『2週間で小説を書く!』

幻冬舎新書008。近所のブコフ250円。ぱらぱらとめくり、ちょっと惹かれて購入。だらだらと少しずつ読んだ。面白かった。
別に小説に限らず「書き言葉で何らかの表現(個人的創作であれ仕事であれ)を行う」ことに関する基礎が書かれている、と思った。自分には圧倒的に欠けている「描写力」についてかなりの紙幅が割かれていて、ああー、そうだよなためになるよな、としみじみ反省しました。「ふだんいかに見ているか」そして「それをいかに言葉に置き換えるか」って大切なことだと思ったので、屋内でも屋外でも現実でも虚構でも車の助手席でも映画館でも、絶えずあれこれ見て聞いて嗅いで参りたい所存です。そこからいろいろ考えることも大事だしやらなくちゃだけど、その前段階の、言葉で伝えるにあたっての、地となる部分。
読者の立場としても、今後小説を読む上での個人的に新しい視座を得られたことは収穫だった。それも「描写」の話。自分がどうにも読むのが遅くかつ小説を読むことが本気で好きになれないのは、ひとえに「くそ忌々しい退屈な描写の部分」にあるとこれまでは考えていたのだけれど、描写があって際立つものもあるし、その描写自身の味わいもあるし、そもそも描写がなければ何も浮かび上がっては来なかったりもするわけで。何も無理して我慢してまで小説を読む必要はないとも思うけれど、でもやっぱり、書き言葉を生業とするのであれば、たくさん読んで、たくさん書いたほうがいいに決まってるので、これからも読む。読むからには楽しく読む。好きになる。退屈でもいいんだ、って考え方が面白い。
読み手としても書き手としても、ときどきぱらぱらめくって「あー、そうだよね、うんうん。」とエネルギーをチャージできそうな本。お手軽座右に。

2週間で小説を書く! (幻冬舎新書)

2週間で小説を書く! (幻冬舎新書)