時代のしかめ面な空気を


日経新聞1/5の34面。
このシリーズ、実はそんなに好きではない。なんかわかるし、わかるんだけれど、「人と人とのつながり」みたいなことは、ここ数年たくさん言われすぎている気がして、ちょっと食傷気味なのである。メッセージとして漠然とし過ぎているような気がするのも、あまりピンとこない原因だろう。
それでもなお、この広告について書きたくなったのは、キャッチに続くボディコピーが気になったから。内容よりも文体や表現にグッときたから。「しかめ面な空気」とか「絆な場所」とか、「皆様」って言っておきながら「みんなに」とくだける表記の揺れ方や、リズムや、仮名遣いや展開。「そんな」「そうやって」という指示語や「人」とか「幸福」とか漠然とした単語がいっぱい出てくるのに、ぐいぐいっと読ませちゃうような。かたいようなやわいような。目指したいなあ。
とりあえずキーボード写経してみた(手書きもやった)。

親、子。
人はつづく。
キリンビール



あのときの話 これからの話
笑った話 泣いた話
話の花が 尽きることなく咲きはじめる。
ビールは 難しくなく スカッと晴れた顔をして
お互いに「久しぶり」な距離を
瞬く間に そしてにぎやかに 縮めていきます。
・・・などと、まあ、とりあえずは乾杯!



あけましておめでとうございます、というそばから何ですが。正直にいって、明日が見晴らしにくい時代です。何を信じればいいかが分かりにくい時代です。だからこそキリンは思う。こういうときこそ、人と人との絆みたいなものが大切になってくるのではないかと。喜怒哀楽を共にし、共にすることでさらに信じあえる、そんな身近な人とのつながりが、時代のしかめ面な空気を一瞬でも吹き飛ばすんじゃないかと。考えたら人間って、いろいろ大変な波を越えながら、そうやって夢とか希望とかを世代から世代へ受け継いできたんじゃないでしょうか。そういう絆な場所に、私たちキリンはいたい。人と人とがいる時間を、場所を、つまり人生を、もっと楽しく、前向きで、幸福なものにする存在でありたい。そのためにも、皆様から常に信じてもらえる品質、喜んでもらえるおいしさ、驚いてもらえる新しさを目指して前進していくつもりです。明日がどれだけ見えにくかろうが、それでも明日はみんなにやってくる。人間万歳!でいきましょう。キリンは今年もがんばります。


謹賀新年 キリンビール株式会社


品質本位