森永卓郎『年収防衛』

『年収崩壊』は未読。書店でちょっと気になって、軽い気持ちでサクっと読んでおきたいと思って購入、サクっと読了。
身のふりかたについてのあれこれだとか、「夢を捨てろ」だとか、ちょいちょいグッとくるポイントはあった。だけど具体的な方策というよりは「考えかたを、ちょっと変えてみようぜ」といった色が強い本、としてとらえるべきなんだろう。世の中への提言だとか、大陸ヨーロッパのライフスタイルへの言及だとか、このへん個人ではどうにもならんし。わたしが書名「年収防衛」から受けていた印象は、もっと具体的に、どう生き抜くべきかといったあたりだったのだけれど、具体的なアクションについては自分で大いに考えろ、と。まあ、それは至極当たり前のことではあって、半端にアクションを促してるっぽい(読者は読んだだけでその気になって終了、的な)本よりは良心的なのかもしれない。
いろんな連載をまとめたものらしいので、全体のとっちらかり感がどうにも残念。でも、今、このタイミングで出版することの方が、そのスピード感が優先だったのかな、とも。にしても、終盤の節約術オンパレードには、へなへなとなった。これで〆かい。
具体的なデータを引きながら、至極まっとうなことを、やさしい言葉で記述してある本だった。そのへんはちょっと見習いたい。
読み返すことはきっとほとんどないだろうけど、この景気、この年齢、この状況、このタイミングで読んでおいてよかったな、と思った。