300円の価値

土曜日、特に予定もなく観たい映画もなく、それでもなんか出かけたい、なんかしたいと思ってやまず、なにかないかと美術館スケジュールなど探していたら、FIX・MIX・MAX!2が開催中ということに気づき、1にはあまりいい印象がなかったものの、行ってみた。
今回は複数の会場での同時多発開催のようで、わたしはその中の札幌宮の森美術館へ。初めてだったんだけれど、結婚式場に隣接していて、なんだか落ち着かない。トイレの「男/女」表示が洒落ている。

結論からいうと、展覧会はすごくつまらなかった。そこにただ置いてあるだけの作品たちに、なんのおもてなし感もサービス精神も感じられなかった。たとえば映像がだだ流しされていて、それらの音が干渉しあっている。なんだこれ。がっかりである。仮に展示のクオリティが低いのはやむなしとしても、もっと「がんばっちゃいました」みたいなチャーミングさがあればまだいいのに、それもない。個々の作品では「ちょっといいな、かわいいな」と思えるものがあったのだけれど。

せっかく来たので「祭太郎」の直筆おみくじ+缶バッジをガチャガチャで購入。200円。
おとな300円。まあいいか、と思える値段だったのでよしとしようか…と思った矢先、チラシ置き場にて「ナンシー関 大ハンコ展」チラシ発見!うおっ!すっかり忘れてたよこれ札幌きたら絶対に行こうって思ってたんだよ!札幌パルコにて11/16まで!あっぶね!あっぶね!ナンシー関を思い出させてくれたのは宮の森美術館。ありがとう、FIX・MIX・MAX!2。
ということで、その足でパルコへ。


いやー、よかった。すごくよかった。正直、生前ナンシー関のことを真剣に追っていた訳でも評価していた訳でもなく、ただときどき見たことあるなー程度のもんであった。「消しゴム版画」という子供になじみのある文具と技法の組み合わせに一方的に親しみを抱いていただけで、「ナンシー関ってすっげえぜ」という一部の人々の声に「そうだよね、すげえよね」と知ったかぶっていた程度。いやあ、これは観に行ってよかった。すごく楽しかった。笑った。感心した。ためになった。本当にぜんぶ消しゴムなんだなー、と思って嬉しくなった。消しゴムの本物を見れてすごくよかった。表情もさることながら、添えられる一言がなんといっても魅力であるけれど、布袋寅泰の顔の下にただ一言「でかい」は爆笑。シンプルだけど大胆だなあ。似顔絵じゃないシリーズもあって、こちらは見たことがなかったけれど、とても味があってよい。よい。とてもよい。

手押しされた版画作品を購入。1,500円。額に入れて飾ろうと思う。
おとな300円。同じ300円。東京とか札幌とかあるけれど、なんかむしゃくしゃした。場所が不問なわけはない、が、受け手としては楽しい方を選択しないと損するだけだ。札幌でクオリティの高いものが創られるようになれば物理的に観に行きやすくなるって意味でありがたいけれど、それを応援するってことがあまりに遠い未来のための話なんだとすれば。ああ。

ナンシー関全ハンコ5147

ナンシー関全ハンコ5147

欲しかったけど、なんだか買えなかった。気が向いたら買おう。