梅田望夫/平野啓一郎『ウェブ人間論』

新潮新書193。『フューチャリスト宣言』を読んだときに「ずいぶん偏った物言いだなあ。あっちはどうした、あっちは」と私がモヤっとしていた部分を本書で平野がずばずば指摘していて「おおっ、そこだよそこ」と思ったのだけれど、梅田はそれに対して「それもまあ、あるんだけど、でもね」と話をそらす、その連続、といった印象で読後もなんだか胸くそ悪い。殴りあうかと思うとひらりとかわして次章、強制的にゴング鳴らして次ラウンド、みたいな。帯の「徹底討論」は誇大、なぁなぁで話してるようにしか思えん。面白い視点はたくさんつまっているし今後この本は何度か再読すると思うけれど、この胸くそ悪い感じとそれに伴う「いまいち信用できないんだよな」ってな触感は、これからもモチオ本を読む際につきまとう気がする。
平野啓一郎の作家という立ち位置から語られるウェブとの関り方、考え方や具体的なエピソードが興味深かった。平野は『月蝕』しか読んでないなあ。